作業室は、食事も仮眠もすべてこの一室で済ませるようになっていた。部屋の片隅に仮眠用のソファがある。
軽い夕食を取ったあと、コーヒーを飲みながら話しているうちに、ルーガルはソファで寝息を立てていた。
いつの間にかグージィがそのおなかの上に乗っている。
さて、おまえらがここに泊まるにあたり、言わなきゃならねえことがある。ひとつ。
ヤネウラにベッドはあるけど、ごシュジンのものなので、ミナさんにはカしません! ユカでネな!
ふたつ。
ついてはこのサギョウシツでザコネか、モノオキでザコネか、エラびなさい!
以上だ。
言いづらいことを人形に言わせるの、どうかと思うよ。
作業室は、食事も仮眠もすべてこの一室で済ませるようになっていた。部屋の片隅に仮眠用のソファがある。
軽い夕食を取ったあと、コーヒーを飲みながら話しているうちに、ルーガルはソファで寝息を立てていた。
いつの間にかグージィがそのおなかの上に乗っている。
くうくう。
くかーくかー。
んんん~。
コペも無理すんなよ。ソファがよけりゃルーガルを引きずり落とせ。
まだだいじょうぶ・・・
でもコペ、眠そうだよ。
実は、他の人が起きてる場所で自分が寝るの苦手なんだ。でも物置はちょっと・・・。二人が眠ったら寝ようと思ってたけど、まだしばらく起きてる?
先に言えよ。屋根裏使うか? 考えてみりゃ、オレはここで仮眠するの慣れてるしな。
え、いいの? ありがとう!
コペは毛布を持って、タカタカと階段を上がっていった。
ヤムカも、人のこと言えないくらい疲れた顔してるけど。
一日馬車に揺られてたからな。むしろおまえはなんでそんな元気なんだよ。まあいい、相談したいことがあったんだ。
何?
ルーガルのあの作戦、どう思う?
それは・・・
ルーガルが死んだフリをして、リリーシカの動揺を誘い、そのスキをついて殺す――。
馬車の中でも、何度もルーガルを説得したけど、考えを変えることはできなかった。
オレはあの作戦、遠回しな自殺じゃねえかと思ってるんだ。
そんな!
だってよ、自分を殺そうとしてる奴が、自分を殺したらびっくりしてスキを見せるだろうなんて、どんな馬鹿なら思いつく? 論理学が泣くぞ。
僕もそうは思ったけど、でも、どうしてそれで自殺なんて?
リリーシカの目当てがルーガルの魔結晶なら、リリーシカはルーガルを殺したらすぐさま体をぶち破って魔結晶を取り出すだろ。ルーガルは、それが狙いなんじゃねえか?
わざと殺されようとしてるっていうのか?
妹が半魔物になってジャハを占拠してるのは、元をたどればルーガルが原因なんだろ。あいつに罪悪感なんてあるのか疑問だが、ないと言い切れるほどあいつを知らねえしな。
そんな考えなら、止めなくちゃ!
焦るなよ、まだ勘違いかもしれねえんだから。明日ジャハに行く前、おまえからそれとなく聞きだせねえか? あいつが何考えてるか。
僕が? 僕にできるかな。
まあ、好きな女に深い話するのが無理だってんなら押しつけねえけどさ。
げほっげほっ!
僕は慌てて咳き込んだ。
いいいつ気づいたの!? 僕ってもしかして、隠すのが下手?
マジか、八割冗談だったんだが。
罠だった!
その後も二人は、夜更けまであれこれ話していて・・・いつの間に眠ってしまったんだろう?
テーブルに突っ伏していたところを、コペに起こされたのは、日が昇って間もない頃だった。
二人とも、起きて! ルーガルがいない!
僕は飛び起きた。
ソファには、グージィ人形だけが寝ていた。